写真=今回登録された高田別院本堂
国の文化審議会(宮田亮平会長)はこのほど、上越市内の5件の建築物などを国の登録有形文化財に指定するよう、文部科学大臣に答申した。特に同市寺町2の高田別院本堂は1959年築で、戦後の建築としては上越市初の登録となる。
国登録有形文化財制度は、国指定重要文化財と異なり、所有者などの申請に基づき、文化庁の審査で歴史や景観、文化的価値が認められたものが登録される。
これまで同市内では柿崎区芋島の楞厳寺本堂・山門(推定江戸中期)、仲町6の大鋸町ますや(1868年)や東本町1の麻屋高野(1927年)、本町6の高田世界館(1911年)など、江戸期から昭和初期までの社寺・町家・洋風建築合わせて19件の建築物が登録されている。
今回、新たに登録される見通しとなったのは高田別院の本堂、鐘楼、大門、塀と、吉川区国田の善徳寺経堂の計5件。いずれも寺院建築で、明治以降のものは善徳寺経堂(1901年)と高田別院本堂の2件。
高田別院本堂は1951年に以前の本堂が焼失。再建時に現在の姿となった。昭和初期から1960年代までの寺院建築で流行した「印度風」と呼ばれる様式。同様式の代表的建築は、東京都中央区の築地本願寺本堂(1934年)。国登録文化財を経て昨年12月、国指定重要文化財に指定された。
高田別院本堂の設計者は岩田錦青氏と推定されているが、その経歴などは不明。外観だけでなく、広く取られた外陣と荘厳な内陣といった造りも、築地本願寺など同様式の真宗系寺院の影響が認められるという。
高田別院渉外担当の千名琢爾さんは「当時の春田義正輪番も、人が集うことを願い現在の様式で再建された。今回の指定をきっかけに気軽に立ち寄ってもらえれば」、市文化行政課主任学芸員の新保誠吾さんは「地域に根ざし親しまれた物件を今後も保全活用するために、登録文化財制度をもっと活用してもらえれば」と期待を寄せた。