写真=寄贈された古文書を並べる学芸員
戦国武将、上杉謙信の書状などを含む約80点の古文書が、謙信の重臣であった柿崎景家の子孫から上越市に寄贈された。柿崎家が上杉景勝の会津転封に従って上越から移転したため、古文書にとって上越は400年ぶりの帰郷となる。
柿崎家は戦国時代に同市柿崎区一帯を支配しており、景勝に従って上越から移転。明治時代には北海道開拓のため北海道へと移住した。今回の寄贈は柿崎家子孫の「古文書をゆかりの上越へ」という思いから実現した。
約200点ある柿崎家文書のうち、明治以前のもの80点あまりが寄贈された。転封以前の上越に特に関係の深い古文書は、謙信と景勝の文書4点、「御館の乱」に関わるもの4点、外交に関わるもの3点の計11点。
中でも上杉景虎の朱印状は貴重で、現存するものは柏崎市の専称寺が所蔵するものと合わせてこの2点のみ。
また、謙信の朱印状は景家に宛てたもので、内容は「家臣の長尾土佐守に嫡男がいないから子息の『おひこ丸』を土佐守の孫娘と結婚させて家を相続せよ」というもの。
大部分が火災に遭って焼けてしまっているが、歴史資料としての価値は非常に高く、市役所公文書センターの福原圭一学芸員は「むしろよくこの状態で残っていたものだと思う。それだけ柿崎家では重要と見なされてきたのだろう」「日付などないのが惜しいとは思うが、想像の幅が広がるのでそこが面白いともいえる」と話した。
初披露は8月6、7日に開催される柿崎時代祭りに合わせて柿崎区総合事務所で9点ほどが展示される。午前10時から午後7時。また謙信公祭に合わせて、上越市埋蔵文化財センターでも一角にスペースを設けて展示を行う予定。