写真=重機を使って雪を入れる作業。330トンの雪が運び込まれた
上越市北方の「岩の原葡萄園」(棚橋博史社長)は4日、雪室への雪入れ作業を行った。隣接するワイン樽貯蔵庫「第二号石蔵」の室温を18度以下に保つため利用する。今冬は雪不足も懸念されたが、室内には夏期に備え、たくさんの雪が詰め込まれた。
雪室は明治時代の1898年、「日本ワインぶどうの父」と呼ばれる川上善兵衛が建造。雪の冷熱を利用し、同石蔵の温度を調整していた。その後、二酸化炭素の発生量削減を目的に、2005年に再建。市指定文化財にも登録されており、約330トンの雪を収容し、赤ワインの熟成に役立てている。年間で約4トン、二酸化炭素の排出量を削減しており、環境にも配慮している。
今年は少雪の影響で、同社周辺の積雪量は例年の約3分の1となる50センチ。毎年2回行う雪入れ作業を、今年は1回でまとめて実施した。例年は同社敷地内の雪を利用していたが、今年は同市牧区柳島からも雪を調達。地元建設業者が4トントラック4台で雪を運搬し、除雪機で雪室内に入れていった。
同社の建入一夫製造技師長(53)は「雪入れは、積雪量を見ながらの作業になるので、毎年実施の時期を決めるのが難しい。雪室の冷熱で一定の温度を保つことができるので、ワインの良い味わいにつなげていきたい」と話していた。