写真=写真集「中ノ俣」を手にする石川会長
上越市の中ノ俣集落に暮らす人々の日常や風景を捉えた写真集がこのほど完成した。中ノ俣はだしの会(石川正一会長)が山里の良さをピーアールしようと作成したもので、燕市出身で東京都調布市在住のフリーカメラマン、佐藤秀明さん(73)の写真を収めた豪華な1冊だ。
全国的に山里の過疎化と高齢化が深刻な中、同市西部の谷あいにある中ノ俣集落で暮らす人々が育んできた考え方や知恵、心の豊かさや自然の大切さといった魅力を発信しようと、同会が上越市地域活動支援事業を活用して作った。
写真は、中ノ俣住民の人間味に魅せられ、10年ほど前から同地を頻繁に訪れて山野や住民を撮り続けている佐藤さんに依頼。これまで撮りためた作品の中から、114点を同会メンバーと佐藤さんで厳選した。
B5判の112ページ、フルカラーで、題字は佐藤さんと親交が深く、中ノ俣にも何度か訪れたことのある小説家の夢枕獏さん(65)が担当した。
春秋の祭りや、さいの神といった年中行事の様子ばかりでなく、雪かきや草刈り、炭焼きや回覧板を運ぶ様子などの日常をありのままに写し出している。住民の表情や飾らない作業風景から、山里に暮らす人々の生き様が浮かび上がる。
写真集を企画した同会の石川会長は「人の去る村から人の訪れる村にしようという思いで出版した。写真集を介して中ノ俣を世間に知ってもらい、気に入って移住をしようという方が少しずつでも増えていけばうれしい」と期待する。佐藤さんは「(同会が)声を掛けてくれてうれしい限り。かつて中ノ俣に縁のあった人たちにも見てもらい、昔を思い出し、懐かしんでもらえたら」と話していた。
今回出版したのは400部で、一般販売はされないが、写真集は中ノ俣集落の全戸に配布するほか、図書館など上越市内の公共施設に配って自由に閲覧できるようにする。
12月4日には出版を記念して、佐藤さんを招き「北極の村と中ノ俣」と題した講演会を開く。場所は中ノ俣集落内の多目的研修センターで、午後1時30分から。参加無料で、先着20人に写真集を無料配布する。
問い合わせは同会事務局541・2062。